nice rice(ナイスライス)新楽路店は、ブランドの原点となる店舗です。
今年、この場所は新たなかたちへとアップデートされました。
現在、ブランドの足跡は全国数十都市へと広がっていますが、
店舗展開を続けるなかでも、
今後のすべての空間刷新が、
この新楽路店を起点として生まれていくことを目指しています。
その想いを受けて、say architects はこの場所を
「人と記憶が集まる場」と捉え、
あたたかな「ナイスライスの小屋」を構想しました。
空間構成は、まるで家の延長のよう。
白くエイジング加工を施した格子状の木製扉がガラス扉を包み込み、
住まいの中で時が刻まれてきた痕跡を想起させます。
店先の段差には木製ベンチを設え、
行き交う人がひと息つける小さな余白を用意。
入口には玄関のような区切りを設け、
内と外をつなぐ緩衝空間として洗面台を配置し、
「家に帰って食事をする」ための
ささやかな儀式性を添えています。
小屋の中へ足を踏み入れると、
中厅(センターホール)が家の「気」を集める核として現れます。
アーチ状の天井が視覚的に空間を包み込み、
四方は明るく開かれ、
家のさまざまなエリアを緩やかにつないでいます。
機能ゾーンは十字型に分節され、
中厅の左右には展示エリアを配置。
各空間は相互に連なり、
「三進三出」の構成を持つ小屋のレイアウトが、
家ならではの温もりと伸びやかさをひとつに束ねます。
無造作に打たれた壁のフックには日常着が掛けられ、
新楽路の小屋は、人々の足跡と時間を包み込み、記録し続けます。
室内の随所には、
かつて各地の店舗から受け継がれた、あたたかな記憶が息づいています。
重慶・北城店の立体高架は壁灯として再生され、
重慶・万象城店で天井から降り注いでいた“米粒”は、
中厅を支える柱へと姿を変えました。
北京・荟聚店から運ばれた花崗岩のブロックなど、
異なる都市の断片が、この小屋の中で新たな居場所を得ています。
また、ウィンドウエリアには、
nice rice 傘下のゴルフ&カジュアルウェアブランド
Stinger の新たな展示スペースも設けられ、
次なる物語の始まりを静かに示唆しています。
素朴な軒と柱、
流れるようなオレンジ色の海。
一粒の米から始まった旅は、
各地の都市文化を巡り、
人と包容、自然の循環について思索を重ね、
そして再び、原点である「家」へと戻ってきました。
夜が深まり、街が静けさを取り戻す頃、
ナイスライスの小屋は扉を閉じます。
それでも、ほのかな灯りは消えず、
忙しい旅人のために、
「帰る場所」の方向をそっと照らします。
天南地北、旅の果てに帰る場所がある。
——好飯は、もう用意できています。
どうぞ、帰ってきてください。
nice rice 新楽路コンセプトストア
オーナー:nice rice
ステータス:完成
年:2025年
面積:230㎡
所在地:中国・上海市 徐匯区 新楽路158号
プロジェクト種別:商業空間
設計:say architects 建築事務所
主任デザイナー:張岩、単嘉男
チーム:孫紫益(プロジェクトマネージャー)、徐晗
施工:上海中耕装飾設計有限公司
照明コンサルタント:TRACE 光迹照明設計